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腹部膨満感(お腹が張る)

上腹部が張る場合は、食べ過ぎによる食生活や生活習慣の乱れはもちろんですが、重大な病気がかくれている場合もあります。消化器疾患としては、感染性胃腸炎、機能性ディスペプシア胃食道逆流症胃・十二指腸潰瘍、急性胃炎、肝硬変による腹水・肝臓癌、胆嚢・胆管癌膵臓癌急性膵炎胃癌や胃悪性リンパ腫、腹部腫瘤、癌性腹膜炎などの悪性腫瘍が考えられます。消化器疾患以外では、うっ血性心不全により肝腫大、血液病による脾腫、EVウイルス感染症やサイトメガロウイルス性肝炎などによる肝腫大などが鑑別になります。

下腹部膨満感あるいはおなか全体の膨満感がある場合は、慢性便秘あるいは急性便秘、過敏性腸症候群、感染性胃腸炎、腸閉塞(癒着性イレウス、絞扼性イレウス、腸重積などの機械的イレウスや腹膜炎、薬剤性、鉛中毒などの機能的イレウス)、急性虫垂炎、大腸憩室炎、大腸癌、癌性腹膜炎、腹水貯留、クローン病などの病気が鑑別になります。また、加齢や食物繊維不足など偏った食生活、生活の乱れや抗生剤などによる薬剤の影響で、大腸の腸内細菌叢のバランスが崩れ(善玉菌の減少、悪玉菌や日和見菌の活性化)でも腹部膨満感が出現します。その他、機能性腹部膨満症、小腸内細菌異常増殖症(Small Intestine Bacterial Overgrowth: SIBO)、慢性偽性腸閉塞症(Chronic Intestinal Pseudo-obstruction: CIPO)があります。

SIBOは腸内細菌の異常増殖をきたし、腹部膨満や下痢・体重減少、吸収障害・ビタミン欠乏をきたし、敗血症・菌血症を起こすこともあります。SIBOを起こす原因疾患は、消化管の術後、小腸憩室、慢性膵炎などによる消化酵素の分泌不十分、糖尿病などによる消化管蠕動障害、全身性強皮症、NASH/NAFLDや肝硬変や免疫不全により引き起こされます。

CIPOは、器質的な原因疾患がないにもかかわらず、消化管閉塞症状を慢性に呈する稀な疾患です。原因や病態は不明なことが多く、本疾患とわからず、複数回手術を受けることが多々あります。欧米では小腸移植を受けることもあります。

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