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げっぷ

週に3 回以上の過剰なげっぷを認め,生活の質(QOL)に影響を与える症候をげっぷ障害とされています(Rome IV基準)。げっぷには2種類あり、gastric belching(GB:胃げっぷ)とsupragastric belching(SGB:胃上げっぷ)があります。

GBは、食事後や炭酸飲料水などの摂取時のげっぷは,胃内の空気が貯留し,胃の伸展刺激による一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)により,胃内ガスの食道への逆流と上部食道括約筋弛緩によってGBは生じます。これは、飲み込んだ空気を胃から排出する生理学的な現象です。

SGB は、患者が口から空気を吸い込んだり飲み込んだりする行動障害です。SGB は胃内に貯留したガスが吐出されるわけではなく,横隔膜異常収縮による食道内腔の陰圧化増加に対して上部食道括約筋が弛緩し食道内に空気を吸い込み(吸引),ただちに吐出するものです。健康な人でも多少の SGB および GB が見られます。 SGBは、過剰になるとQOLを損ないます。ストレスの多い生活や心理的要因がSBGを引き起こします。また、胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease;GERD)患者や機能性ディスペプシア(FD)患者は、げっぷが多く、GERD の病態に、SGB が関与していると言われています。SGBの治療は、薬物療法の効果は小さいことが多く、認知行動療法を行います。認知療法として,SGBは無意識にわざと行っており,適切な治療で止めることが可能です。

SGBは、わざと空気を食道内に吸うあるいは飲み込んで、腹筋を使ってすぐに吐き出しており,普通の胃げっぷとは違う。SGB を始まる前駆症状(胸の不快感)がある場合は,その症状をこの治療で和らげることができることを理解しましょう。行動療法としては、腹式呼吸(口を半分ぐらい開き,舌の先を上の前歯の裏につけ、両手を胸とおなかに置いて、おなかだけが上下することを確認し、3秒吸って3秒吐く運動)を1日2回、3~5 分練習しましょう1)2)3)

しかしながら、これらのげっぷ障害は、器質的な病気(胃癌胃・十二指腸潰瘍、食道裂肛ヘルニアなど)がかくれている可能性もあります。症状が強いあるいは継続する場合は、まず内視鏡検査を行いましょう。

1)藤原靖弘.日消誌2020;117:1081―1086
2)Sawada A, Fujiwara Y, Sifrim D.J Clin Med. 2020. 20;9(10):3360.
3)Fujiwara Y.J Neurogastroenterol Motil. 2021.30;27(4):581-587

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