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肝炎と肝細胞癌

急性肝炎

肝細胞に急性炎症をきたし、全身倦怠感、黄疸、発熱症状が出現し、肝機能の悪化(トランスアミナーゼAST, ALTなどの上昇)を引き起こす急性疾患です。原因はB・C型のウイルス性肝炎が多く、アルコール性、薬剤性、自己免疫性、EBウイルスやサイトメガロウイルスなどの急性感染により引き起こされます。

慢性肝炎

肝臓の炎症が6か月以上持続する状態で、B・C型肝炎による慢性肝炎が多く、自己免疫性、アルコール性、薬物性などが原因で、慢性状態が継続すれば徐々に肝臓の線維化(硬くなる)がすすみ、肝硬変に移行します。肝硬変になると、門脈圧亢進症(腸から肝臓へ流れる血管を門脈といいます)の状態になります。つまり、肝硬変により、肝臓への門脈血流が少なくなり、門脈の圧があがります。その血流は、脾臓、食道、胃、直腸に新生血管(静脈)ができます。胃・食道にできた新生血管を胃・食道静脈瘤といい、これが破裂した場合は、大吐血の原因となります(写真1)。

肝細胞癌

肝細胞由来の悪性腫瘍です。B・C型肝炎あるいはアルコール由来の肝硬変から発生することが多く、アルコール性以外にも非アルコール性脂肪性肝炎(NASHナッシュ)由来の肝細胞癌もあります。日本人の飲酒をしない30%は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLDナッフルディ)であると言われています。NAFLDとは、肝細胞に中性脂肪が蓄積することにより、病理学的に脂肪滴(主成分は中性脂肪で白く抜けた円形所見)をみとめる病態をいいます。NAFLDは非アルコール性脂肪肝(NAFLナッフル)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASHナッシュ)に分類されます。NASHは、肝臓に炎症や繊維化を起こし慢性化します。NAFLは慢性化しませんが、NASHに移行する場合もあります。 NAFLDは肥満や生活習慣が原因です。糖尿病や高血圧、脂質異常症を合併することが多く、メタボリック症候群関連疾患です。

(日本肝臓学会は2023年に名称統一をしました。肝炎、ウイルス、アルコール、免疫異常さまざまな原因により生じる肝臓の慢性炎症状態をCLD(Chronic Liver Disease)と定義されました。従来のNAFLDはMAFLD(Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease)に置き換わり、従来のNASHがMASH(Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis)に名称が変更されました。またアルコール性肝障害(ALD)とは1日60g以上の飲酒が5年以上、非アルコール性は男性で一日30g、女性で20g未満の飲酒量とされており、NAFLDとALDの定義を満たす飲酒量にギャップが存在するため、中等度飲酒者に新たな診断名MetALDが加わった:参考日本内科学会誌113巻1号2023;10-15)

 

 

(参照:病気がみえる 消化器編 第5版 メディックメディア)

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