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消化管と腸内細菌

腸内細菌は、ヒトの体重が50㎏とすると1.5㎏は腸内細菌の重量と言われており、かつヒトの腸管内には500~1000種類、細胞個体数は100~1000兆個の腸内細菌が存在するといわれています。近年16S-rRNA次世代シーケンサーの登場よりメタゲノム解析(試料中の微生物のDNA/RNA配列からメタゲノム解析が可能な機械である次世代シーケンサーを使用して微生物叢を網羅的解析し、データーベースと照合して微生物を同定すること)が飛躍的に進歩いたしました。それに伴い宿主腸管免疫、循環器疾患、2型糖尿病やメタボリック症候群、多発性硬化症、自閉症との腸内細菌のdysbiosis(ヒト腸内細菌叢の変容)との関連性が指摘されています。消化管に対しても様々な疾患との関連が知られています1)

過敏性腸症候群(IBS)

日本人におけるIBS患者の腸内細菌の解析結果が報告されています。IBS患者は健常者と比較してLactobacillus、Veillonellaが多く、糞便中の短鎖脂肪酸(脂肪酸の一部であり、コレステロールを低下させたり、腸内を弱酸性に保ったりする役割がある)の中でも酢酸とプロピオン酸,総有機酸の濃度が多い結果でした1)2)Lactobacillusはグルコースを乳酸に代謝する細菌でVeillonellaは、乳酸を酢酸、プロピオン酸に変換する細菌といわれています。酢酸とプロピオン酸が多いほどIBS症状が強かったと報告されています1)

1)Tana C. Neurogastroenterol Motil 2012; 22:512-519
2)週刊医学のあゆみ 特集腸内細菌と臨床医学2018 医歯薬出版社

大腸癌

大腸癌の一部に口腔内に存在するFusobacterium nucleatumが大腸癌の発生や進展に関与していることが報告されています3)

3)Kostic AD. Genome Res 2012; 22:292-298

その他

慢性便秘、炎症性腸疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変に生じる肝性脳症、原発性硬化性胆管炎など腸内細菌との関与が報告されています。

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