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萎縮性胃炎(ピロリ菌感染胃炎・A型胃炎)

萎縮性胃炎は、ピロリ菌(Helicobacter pylori)感染(写真1)によるものが最多で、ピロリ菌とは関係のないA型胃炎もまれにあります。
A型胃炎とは自己免疫性胃炎のことであり,自己免疫的機序により胃底腺領域の高度粘膜萎縮および化生変化を認め,ビタミンB12 や鉄などの吸収障害が起こり,神経内分泌腫瘍(NET)や胃癌を合併することがあります1)

ピロリ菌感染は、萎縮性胃炎のみならず胃・十二指腸潰瘍、胃癌、胃マルトリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の原因とされています。長期のピロリ菌感染は、萎縮性胃炎を進展させ、胃癌の発生母地である腸上皮化生を伴うようになります。ピロリ菌活動性感染者の2.8%に胃癌の発生をみとめ、一方ピロリ菌未感染者は胃癌発生がなかったという報告があります2)

しかしながら、ピロリ未感染胃癌もあるので一概にピロリ菌未感染者は問題ないとは言えませんが、胃癌発生のリスクは低いとは言えます。また、ピロリ菌を除菌することにより、未除菌患者の胃癌発生率が2.4%に対して、除菌患者の胃癌発生率は1.6%であり、有意に減少したという報告があります3)

内視鏡検査を受けて(除菌前の内視鏡検査は保険上必須です)、早期のピロリ菌除菌治療を行いましょう。ピロリ菌除菌後も胃癌発生のリスクは減少いたしますが、除菌後胃癌が発生する可能性が残るので、早期発見のため、年1回の内視鏡検査を推奨いたします。

1)今村祐志.日本消化器内視鏡学会誌.2018;60:1444-1449
2)Uemura N. N Engl J Med. 2001,345(11):784-789.
3)Ford AC. BMJ.2014,348: g3134

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