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大腸癌・大腸ポリープ

結腸や直腸粘膜より発生する悪性腫瘍を大腸癌といいます。粘膜・粘膜下層までにとどまる早期大腸癌とそれより深い固有筋層まで浸潤した進行大腸癌に分類されます(写真1)。

大腸癌に罹患しやすい生活および食事などの促進因子は、赤身肉や加工肉などの高脂肪食を多く食べる、喫煙、肥満、飲酒です。反対に、活発な身体活動や食物繊維を多くたべることが大腸癌の抑制因子となります。その他、遺伝因子(家族性大腸ポリポーシス、リンチ症候群など)や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)を罹患されている方は、大腸癌になりやすいといわれています。

大腸癌の発生原因は、腺腫(大腸ポリープ)ができて、腺腫から大腸癌になるAdenoma-carcinoma sequence経路がほとんどですが、正常粘膜から直接に大腸癌(陥凹性早期大腸癌から進行癌へ)になるde novo carcinoma経路もあります。最近は右結腸に多い鋸歯状病変(Sessile serrated lesion:SSL)(写真2)やTraditional serrated adenoma: TSAからの発癌が注目されております。

進行大腸癌は進行度によりますが、手術療法、抗癌剤などの治療を行います。粘膜内癌あるいは浅い粘膜下層までとどまる早期大腸癌は、内視鏡的大腸ポリペクトミー、粘膜切除術などが行われ、大きい病変は、内視鏡的粘膜下層切除術(Endoscopic submucosal dissection: ESD)で治療を行います。

大腸ポリープ(腺腫:Adenoma)を内視鏡的ポリープ切除を行うことにより、大腸癌の発生を減らす1)または大腸癌死亡率を減少できる2)と報告されています。欧米では、全部の腺腫性大腸ポリープを切除してポリープをなくす(クリーンコロン)ことが推奨されています。

日本では5㎜以下腺腫性ポリープの癌の率(担癌率)は0.46%と低く、10㎜以上は28.2%3)と報告されており、5㎜以下の腺腫は欧米のようにポリープ切除するコンセンサスを得られておらず、陥凹性の腺腫以外の腺腫であれば経過観察でも容認されてます4)

しかしながらその場合でも、最低1~3年毎の大腸鏡の検査は必要です。すこし専門的になりますが、大腸検査を受ける間隔を述べます。クリーンコロンを施行した場合、Advanced adenoma (径10 mm以上の腺腫,病理組織学的に絨毛構造成分を有するもの,high-grade dysplasia[本邦の粘膜内癌(Tis)に相当])がない腺腫の数2個以内は3~5年後、10mm未満の3~9個の腺腫は3年後、advanced neoplasia (浸潤癌にadvanced adenomaを包括した概念で、径10 mm以上の腺腫,あるいは病理組織学的に絨毛構造を25%以上有するもの,high-grade dysplasia)を認め内視鏡的に完全切除した場合には1~3年後の大腸鏡の再検査を推奨されており、特に粘膜内癌、10 個以上の腺腫あるいは20 mm 以上の腺腫を,内視鏡的に完全切除した場合には、1年後の検査が望ましいとされています。

当院では欧米に準じて、小さい5㎜未満で、陥凹性の形態以外の腺腫は生検(細胞検査に使用する鉗子でポリープを消失及び病理検査)あるいはコールドポリペクトミー(高周波を使用しない方法)にてクリーンコロンを行っています。大腸癌症例や多数ポリープがある症例あるいは高リスクな基礎疾患をお持ちの方や後出血のリスクのある抗凝固・抗血小板薬を内服している患者さんは、関連専門病院にご紹介いたします。

1)Brenner H. Am Intern Med,2011,154(1) 22-30
2)Zauber AG. N Engl J Med,2012(8):687-696
3)Sakamoto T. Colorectal DIS 2013.15:e295-e300
4)大腸ポリープ診療ガイドライン2020

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