痔瘻・肛門周囲膿瘍
痔瘻は肛門小窩(直腸と肛門管の間のくぼみ)に開口する肛門腺から細菌が入り、内括約筋間に感染巣が形成され、その炎症が波及して膿瘍が形成されます。炎症あるいは膿瘍が形成されると肛門部に腫れと強い痛みを感じます。この膿瘍が自壊あるいは切開排膿術により瘻管(トンネル)を形成し、慢性化して痔瘻が形成されます(図3)。痔瘻が形成されると手術療法や痔瘻結紮療法(seton法)などの根治治療が必要になります。稀ですが、放置すると痔瘻癌になることもあります。痔瘻が悪化して肛門周囲のみならず、陰嚢・睾丸、会陰・大腿部の筋膜まで炎症が広がり、壊死性筋膜炎(フルニエ症候群)をおこすことがあります。また、クローン病に伴い痔瘻を形成することもあります。
(参照文献:病気がみえる 消化器編 メディックメディア、消化器内視鏡 特集直腸・肛門を診る1992,4(10)東京医学社)